「日本人が日本語を読めない。」と聞くと、おかしなこと言うなあと感じるかもしれません。でも、考えてみてください。永い日本の歴史の中で、現在使用している印刷活字文字は、明治以降の150年間に過ぎません。
編者の児玉幸多先生は、学習院大学の学長も務めた方ですが、そこに至るまでは古文書を解読しながら、文字を一字一字正確に記録整理して、1970年近藤出版社からこの辞典を出版されました。地味な作業の積み重ねが大きな成果を産むのですね。
一般的にはこの辞典とともに、『くずし字用例辞典』(児玉幸多編、東京堂出版、1993年)を対にして使用します。使い方を知るには、油井宏子著『くずし字辞典を引いて古文書を読もう』(東京堂出版 、2019年)が良いでしょう。
約30年前の高等部生に、大学図書館の古文書を利用する生徒がいました。今、何をしているのでしょうか。 (MMRC)