内容は「小中学生時代、大学受験勉強、人生で一番勉強した大学、先達、京大修士から東大助手、高等研究所、京大数理研、ハーバード大での大きな研究成果、カリフォルニア工科大教授職と大学運営、IPMU創設、社会にとっての基礎科学とは」。
エピソードがわかりやすく、とても深く本質を捉えて書かれているのが特徴。数学や物理の数式で表現される世界は数理的な非言語理解のまま進められるが、逆に言語化するのは至難の業。著者はこれが得意。ずば抜けた秀才もあって完璧にできる。著者の他著もおすすめ。小さなゼミ室で会った東大助手1年目で1歳年上だった大栗さんは、数学科の教授たちと先輩との共同研究を一瞬で理解してしまい、我々がまだ見ぬ先の展望まで逆に解説を始める異様な存在だった。学部でランダウの理論ミニマム全巻を自学したと普通ではまず無理なことがさりげなく書いてあり、日米で3つの研究所長を務めている。
(Secondary Program Division 理科)